2021年11月15日月曜日

ウディコンで感動的な出会いをした話

大好きなゲーム作者の方の話をします。

 2019年のことです。第11回ウディコンに「ひたすらドラゴンを倒すだけ」というゲームがエントリーしていました。
サムネイルからすると、ゲーム作成に不慣れな作者さんが基本システムを使って一生懸命作ったという雰囲気のゲームでした。致命的なバグとか残されていてもおかしくない感じの。
「しかし、サムネイルから受ける印象と違って、実際は構成のしっかりした、よくできたゲームである」という評判を聞いて、興味を惹かれてプレイしてみました。そして実際、とても面白いゲームであることがわかりました。

このゲームを作られたのは渡辺さんという方でした。私はゲーム本編と同じくらい、この渡辺さんがすごく好きになりました。全部の会話にエクスクラメーションマークがついているような怒涛の勢い。なのに全然しつこくない、爽やかで丁寧な対応。
例えば「ひたすらドラゴンを倒すだけ」のゲーム説明文には
はじめてマップRPG作りました!!!!!よろしくおねがいします!!!」と書かれています。エクスクラメーションマーク何個重ねるの。元気を持て余してるの?

更新履歴すらこの調子で主張が激しいので笑ってしまう。バグや感想を報告する掲示板でのやりとりもずっとこの感じです。彼の発言を見てるだけでなんだかこちらが元気になってくるような素敵な方でした。口調が面白いだけでなく、発言の端々に誠意があふれていて実は丁寧な応答をしていて、その様子がすごく好ましかったのです。

当時、彼はツイッターのアカウントを持っていて、積極的に発信していました。私はツイッターを稼働させていなかったので、RTもいいねも、もちろん返信などもしたことがなく、こっそり覗き見ているだけでしたが、覗くたびにくすっと笑ってしまうような面白発言が多かったと思います。
そのツイッターアカウントは、確かウディコンの期間限定だと明かされていました。ウディコンが終わった後、コメント返しなどもツイッター上でしていましたが、宣言通り、ウディコンが終わってしばらくすると、アカウントは消えていました。
消す前、ツイッターアカウント残そうか迷っている感じのツイートを見ていたので、消さないんじゃないかと淡い期待を抱いていましたが、その期待は打ち砕かれました。
もうあのアカウントは見れないんだ、と思うと寂しい気持ちになったものでした。

ところで、「ひたすらドラゴンを倒すだけ」には実績機能がありました。
実績を全部集めると秘密のテキストが出力されるのです。
そして、画面にはこんなメッセージが表示されました。

「もし来年か……それとも再来年か……
君がもし『40.txt』が失われた作品を発見したら
今出力されたテキストを仲間のいるフォルダに放り込むといい
きっと良いことがあるはずだ」
この秘密のおまけを見たとき、「なんてシャレオツなことをする作者さんなんだ…!」と感服し、この仕掛けにわくわくして次のウディコンが楽しみになっていました。「40.txt」の意味はよくわからないけど、来年、渡辺さんのゲームをプレイしたらわかるんだろう。
渡辺さんはアカウントを消してしまったけれど、また彼の作品をプレイできるんだ。そしてまた次のウディコンではアカウントを作って戻ってくるのかもしれない。そう思いました。

そして、2020年。第12回ウディコンが開催されました。
しかし、エントリー作品が出そろっても、作者の中に渡辺さんの名前はありませんでした。また、渡辺さんの作品らしきものも見当たりませんでした。
きっと作品を作るのが間に合わなかったのでしょう。少しだけ残念でしたが、でも、まあウディコンは来年もあるし。いつかのウディコンでまた彼の名前を見れるかもしれない。見れたらいいな。そんな風に考えていました。

2021年のウディコンはなんかすごかったです。作品数も多いし、クオリティの高い作品も多い。面白そうなゲームがたくさんある。私は気になったゲームを気ままにいくつかプレイしてみました。

その中の一つに、「君はヒの魔法使い」という作品がありました。
ゲームブック風ADVなのですが、プレイし始めて私はすぐにそのゲームに夢中になりました。
シリンダーを回してパラグラフを移動するのが楽しい。漢字魔法を使うギミックも洒落てて素敵。何よりその文章に惹きこまれました。ストーリーを追うのが楽しい。
私は普段、クリアするまではプレイしたゲームの感想をツイートしないようにしています。でも「君はヒの魔法使い」に関しては、プレイし始めてすぐに「このゲーム面白いよ!!」てツイートしました。それくらい好みだったのです。

しばらくゲームを読み進めて行った時、あるパラグラフに行き当たりました。
作中で本がもらえるのですけれど、その本のタイトルがなんと「ひたすらドラゴンを倒すだけ」なのです。

そして続くパラグラフが。

パラグラフタイトル「ひたすらドラゴンを倒すだけ」
「これは去年のウディコンで40.txtを手に入れてくれた人のためのおまけコンテンツです」

この文章を見たとき、私はリアルに叫んでしまいました。
え!?「ひたすらドラゴンを倒すだけ」の作者渡辺さんは、「君はヒの魔法使い」の作者うどんのたまごさんなの??
え?作風全然違うよ?
え?え?
という混乱と。
去年のお気に入り「ひたすらドラゴンを倒すだけ」と今年のお気に入り「君はヒの魔法使い」のまさかのリンクの衝撃と。
何より消えてしまっていたと思っていた渡辺さんは、実はそこにいたんだという喜びと。

それはもう言葉にできないくらいの感激でした。

私はすぐに、去年手に入れた「40.txt」のファイルをコピーして、フォルダに投入してみました。
そしてそこで見られた文章は、なんとなんと、私の大好きな渡辺さんからの直々のお言葉だったのです。

変わらぬハイテンションの渡辺さんのセリフが出てきて私はもう胸がいっぱいになってしまいました。

「ひたすらドラゴンを倒すだけ」のテキストセンスの良さとか、キャラクターの描かれ方とか、言われてみれば、納得できる部分もたくさんありました。渡辺さんという素敵な作者像ですら、作り出されたキャラクターだったわけです。

渡辺さんとの再会は私にとって非常に感動的で衝撃的であり、皆に「聞いて聞いてー!!」と大声で触れて回りたかったのですが、「ひたすらドラゴンを倒すだけ」と「君はヒの魔法使い」のリンクは隠し要素だったので、表立って言わない方がいいのかな、と思ってずっと黙ってました。
しかし、その後、この二作品が同一作者の方の手によるもの、という事実がわりと周知になってきたので、この前のクリエイターズ文化祭で直々に許可をいただき、こうしてブログに書いてみました。

「ひたすらドラゴンを倒すだけ」DLはこちら!渡辺さんからの素敵紹介文もあるよ!
「君はヒの魔法使い」DLはこちらから!
両作品ともウディコンでの公開時からバージョンアップされてますので既プレイの方も未プレイの方も是非。

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